第七回 点訳技術講習会

平成14年11月14日(木)
2002年度点訳技術講習会 第七回 レポート

 今回のところで、分かち書きが終了することもあって、宿題や講習時間中に行われる練習問題では、ほとんどが日常会話に近い文章となってきている。それとは、どういうことかというと、単純でないということ。気付いてはいないが、現在の会話上では、かなり複雑な言い回し、特に造語はよく利用する。どこまでが造語か、どうかなのかはこの際構わないが、分かち書きにおいては、ルールを逸脱したところに行ってしまうこと多々ある。くしくも、そのレベルで伝えなければ、意をなさぬもの。
  今回も練習問題において「**する」といった言い回しで引っかかった。分かち書きで、これは複合語の分かち書きになり、上記のようにサ変動詞の場合は多様化する。(サ変動詞以外の複合語は続けて書く)「命ずる」、「心する」など漢字一字に「する」がつく場合は続ける。この場合のような連濁する場合は必ず続けることになる。注意しなければならないことに、「愛する」「恋する」では、「愛する」は続けるが、「恋する」は区切る。この場合「する」の前に(を)を入れたとき、「する」の意味が強い場合は、「恋」は名詞であると理解し、区切ることとなる。対照的に、「する」の意味が弱い場合は、「愛」の一字で名詞とは判断しにくく、つながった分節となる。
  後先が逆になったが、複合語の基本をここで簡単に明示する。
  複合語で代表的なのは、複合名詞である。「桜並木」は区切るが「松並木」は区切らない。これは、3拍以上の意味のまとまりが二つ以上ある場合は区切って書く。「被保険者」はきらないが「非日常」は切る。この場合、どちらかというと「非」は強調の度合いが強く、つなげると分かり難く、発音するときも特に区切られたようになる場合が多い。中には、「被」と同じく、続けて用いることが常であるときは続けるということもある。「非 常識」というよりも「非常識」という用い方がそうである。
  一般に強調する場合、意をはっきりさせたく用いられる語は、区分けして書くことが基本である。
  複合語は、上述、多様であり、今後も日常での言い回しにおいても、簡略化して伝える場合など、新しく増えていくことは必須である。ややこしいところではあるが、こなしていくことで慣れ、一種のパターン化するまで繰り返さなければならない。
  分かち書きの最後となったが、固有名詞の表示方法を習う。比較的、今までの分かち書きに比べて難しいものではない。人名を表す場合、一般に苗字と名前の間は区切る。人名のあとに「さん」「様」「君」「殿」「氏」「兄」がくる場合は、その前で区切る。それ以外の敬称・尊称・官位などは。それが3拍以上の場合は区切り、「**家」のように2拍以下は続ける。「大阪湾」は続け、「襟裳岬」は区切る。

 通常の講習が終わった時点で、先に述べた練習問題であった。
  今回、私は私事、遅れて出席したため、席は一人であった。テーブルには二人掛けしており、その相手の方と練習問題を読み合わせ、間違いを見つけるというものであった。一方が点字を読み、それを相手の方が墨字でチャックする。間違いの内容は、今まで習った応用が用いられ、なかなか見つけることは困難であった。普段、気にすることなく読んでいるのだが、だいたいで読んでしまっているのがよくわかった。点字書きの誤字がいくつか有り、分かち書きにいたっては、気にならぬほどになってしまっていた。実際に声に出して読み合わせるのだが、読むことで必死なのが、正直なところ。かぎかっこの一方が抜けていることなど、わからなかった。まだまだ、レベルが低いところにある自分をかいまみた気がした。その日、帰ってから反省し、参考書となる本を注文した。「点訳の手引き」(全国視覚障害者情報提供施設協会)、「日本点字表記法」(日本点字委員会)と二冊の問題集「点訳問題集1・2」(全視情協)
まずはこれらを読みきってみようと思う。

 本日、帰りに、同じく受講されてる方といっしょになり、お話をした。おばさんである。彼女は、既にボランティアで点訳に携わっておられる。私が「難しいですよねえ」というと、彼女は「ここは今まで勉強していた人が、さらにのぞんで勉強しにくる講習なのよ」といわれた。
この講習の最初にもあげたとおり、町のボランティアとは、はるかにレベルは違う。やってますとは違うのである。具体的なお話を聞くことでその違いを理解し、ますますやる気が出てきた。

(宿題)
*点訳
  [注意点]
  点訳したものを読み返す。
  点筆をまっすぐにおろし、均一に点が出るように押し切る。

(つづく)