第三回 点訳技術講習会

平成14年10月17日(木)
2002年度点訳技術講習会 第三回 レポート

 本日、第三回目の講習会となったわけだが、特に宿題を済ませただけに過ぎなかった復習が、やはり困難を招いた。ついていけてないのである。
こられる方の大半は、点字の経験も多少ある上に、かなり前向きに取り組んでおられる。前回習ったこと以上にこなせているようであった。
  現時点で、「あ」から「ん」の単純な五十音はすでに読み書きともマスターされておられたようだ。
私のほうはというと、“難しい”などと言い訳をしながら、宿題をこなしたに過ぎない。点字の「読み」、「書き」両方を覚えるという、その圧力に押されてたのであろう。点字一覧表をカンニングという意識もないままに写し取ったようで、とても恥ずかしく感じられた。
  そのせいで、本日の講習会自体がドキドキもので、半分以上、身になったかどうか!
点字は、まさにだいたいではいけない。私のこのペースでは、“習ってました”といえるのがせきのやま。
とても人のためといえるものではない。
次回(第四回)からは、「分かち書き」を習っていく。ここで追いついておかないと大変なことになりそうだ。

 さて、本日の内容であるが、前回に時間切れのため最後までいけなかったので、仮名遣いについてのルールを教わることから始まった。
①助詞の「は」「へ」は「わ」「え」となる。
   「私は…」の場合には「ワタシワ…」となる。
②墨字で「う」と書く、ウ列・オ列の長音は、長音符を使う。
   たとえば、「お父さん」は「オトーサン」(「お母さん」は「オカアサン」)となり、「牛乳」は「ギューニュー」となる。
この場合、動詞で「う」を用いるときは、「ウ」となる。たとえば、「合う」は「アウ」となる。
ただし、例外で、以下の語句等は、「オ」を用いてあらわすので、特に注意。
「多い」「大きい」「狼」「氷」「十」「凍る」「遠い」「通る」「憤る」「炎」「装う」
これらを見るとなんとなくそうであろうと感じるが、表音文字で捕えることが多いため、勘違いをしやすいと思う。実際に、一度その読みを書き出してみると「お」と書けるのであろうが、つい間違ってしまう恐れがありそうだ。音的に伸ばす場合、「う」「お」を用いるが、まずは仮名書きをする癖をつけねばならない。以前から幾度となく、気にしなければならないこととしているが、ちょっとした間違いで意味が大きく変わる。
  基本的に上記のように、現代仮名遣いに準じて書き表すのであるが、最も間違えやすいのが、次に揚げるところである。
「ジ・ズ・ジャ・ジュ・ジョ」と「ヂ・ヅ・ヂャ・ヂュ・ヂョ」
原則としてサ行を用いる。地震=ジシン
タ行連濁・タ行同音の連呼はタ行を用いる。底力=ソコヂカラ、気付く=キヅク
その他、ややこしいものとしてあげるが、原文がある場合はそのまま用い、それ以外は辞書を引く習慣を持たなければならない。赤血球=セッケッキュー、特価品=トッカヒン、音楽家=オンガクカ、パーティ/パーティー、ボーリング/ボウリング、キー/キイ、フイルム/フィルム

 なんでもない基本的なことではあるが、いわれてみると、ちゃんと書き表せないことが多いことがよく分かる。我々には漢字があることで救われている。漢字によって意味を理解することにもなれている。確かに日常では、どうでもいいことかもしれないが、仮名だけの世界では、かなり重要な自体でその使い分けを明確にしないと意味さえも伝わりにくくなる。
大人になるにつれ、そんなことはどうでもよくなった面がここにもあるようだ。気付けた時間を少しだけありがたく思う。

 本日の後半を利用して、数字・アルファベットであった。
数字のルールは下のとおり、
数符を前置し、四桁までひと続きに書く。万・億・兆などの位は、その発音を仮名書きする。12,345=(数符)1マン2345
少数は、小数符を用いる。分数は、一般の文では読み順に表し、分母と分子を1升あける。3+2/3=(数符)3と(数符)3ブンノ(空)(数符)2
おおよその数を表す場合は、それぞれ数符を前置する。2-300人=(数符)2(数符)300ニン
上記のように、原則として、数字に続く後は続けて書くが、問題となるのは、あ行とら行である。なぜかとういうと、点字で表す、数字(1から0)で表示が同じものがあるからだ。6点表示でいう①・②・⑤・⑥での表示できる五十音がそれにあたる。このような場合は、第一つなぎ符というのを用いる。「一列」=(数符)1(つなぎ符)レツ とする。これを用いなければ、“17ツ”となってしまう。
これについては気をつけなければならない。
その他の数の点字表記として、日本語に用いられる沢山の数字を含んだ語句の表示である。 二十歳(ハタチ)、二の腕(ニノウデ)、一人(ヒトリ)、二人(フタリ)。
仮名書きで、数の意味が薄い場合は発音どおりに表記するなど、どちらを用いるかはよく考えねばならない。
  次にアルファベットである。ここでも前置する点字により、その次の字が外字であることを表記する。一般的にアルファベットの文字や略称は外字符を使って表し、単語、熟語、文の場合は、外国語引用符でその間をくくる。
大文字には、大文字符を。一区切り全てが大文字の場合は、二重大文字符(大文字符を並べる)を前置する。

 日常用いられる語句について、だいたいは出てきた。
これらを確実に身に付けていくわけであるが、やはり、ややこしい!
今に思うと、我々の日常使っている言葉は、かなり多種多様であることが分かる。これだけ入り乱れたものを、たった6つの点の羅列で表現するということは、そのルールに至っても苦労されたことであろう。
  ニュアンスで用いたり、見た目によって表現を変えてみたり、なんとなくの部分で表現し、そして理解している。これはこうあるべきかそうあるべきなのか。
確信のもてる表現は、ここのこだわり(?)にゆだねられているようなところであろう。
「10g」であろうが、「十グラム」であろうが、読むことで意味は通じるが、それが目で見ることの意識(ビジュアル認識)によるイメージの方法により、表現付けているものなのか…
  点字でも、その表し方によるイメージを伝えなくてはならない。単に意味が分かればいいのでは…とは違って、我々が用いるような表現(カラー、自体、大きさ)とまでは行かないまでも、感じれる部分として理解し、その表現通りを鉄則とし伝える役目となろう。

またひとつ気が付けてよかった!

(宿題)
*外字交じりのややこしい、言葉の点訳。
*読み方の練習(墨字訳) その点字に間違いの部分が隠されている。

(つづく)