東日本大震災ボランティア 7th(陸前高田市広田地区)参加

おおよそ一カ月ぶりに東日本ボランティアへ参加することにした。今回はこれまで行けなかった岩手県に是非出向きたく思い模索していたところ、気運の良いことに世界遺産となった平泉の観光を含めたボランティアツアーがトップツアーより募集していたので早速申し込む。東京からの出発しかなく、それなりに費用はかさむが、現地の需要がいまだ追いついていない現状においては、人数を確保したいと願うボランティアセンターのことを配慮して、個人参加でなく、ツアーという選択を選んだ。結果的には双方にとって都合がよいのである。

大阪を15日の夕方出発し、9:30東京駅の集合場所へは少し余裕をもって到着した。蒸し暑いビルの谷間で時間をつぶしていると、9:01茨城県で震度5、東京でも震度4の揺れを感じた。いやな前触れとならなければよいのだが…。
地震の影響で列車の乱れが発生したため、集合に遅れる方も出たが、なんとか10時過ぎに東京駅を出発。順調に東北道を北上してゆく。確か仙台手前であろうか、明け方近くにプチ渋滞。連休に合わせて企画された東北六魂祭が仙台で催されるのである。
復興を祈願して、東北のメジャーな祭りが集合するとあって、後日の新聞では、見物客があまりにも多くて山車が一部中止したとのこと。形は違えど、相通じるものを胸にして、我々のバスはさらに北上して行き、 大きな遅れもなく北上経由で陸前高田へと目指す。
陸前高田は、大船渡と気仙沼の間に位置し、津波被害が極めて深刻な街のひとつである。


10時を少し過ぎたころ、陸前高田市災害ボランティアセンターへ到着。必要物資をバスに積み込み、壊滅状態の街の中心部を通り抜けた先、広田半島の中ほどに位置する漁業(牡蠣などが全国的に有名)の地区、今回お手伝いさえていただく場所へと辿り着いた。依頼を戴いた御主人宅(Yさんご夫婦)は、一軒の店舗であり、20-30件立ち並んでいた民家の中で奇跡的に一軒だけが倒壊を免れた。
作業する内容は、やはり泥掻きで、 沿岸部を添うようにして約200m程。
一見するとたいしたことないように思えたが、如何せんよく晴れ渡っており、岩手と思えぬ連日34度の灼熱の炎天下においては、かなり過酷な作業であった。
総勢40名でその多くは女性・・・。とはいえ、この方たちはただもんではなく、とにかくパワフル。かなりのピッチで作業がはかどる。不思議なもので、昨日まで他人だった人たちとは思えぬほどの連携がすばらしい。一つの思いで参加したその志とそれぞれの持ち味いかした行動力が、嫌みのない振る舞いとしてうまくかみ合っているのである。私も7回目のお手伝いとなるが、今回のチームは立派な一つの部隊といえる。
なでしこJAPANも世界一となる訳もダブらせてわかる気がした。
灼熱の中、あまりに気持ち良く作業がはかどる様子に、住民のYさん御夫婦も御機嫌に見受けられた。
これがまたおかしな勘違いで、ジュースやアイスキャンディーなど沢山ふるまっていただくのである。その中の当事者なのだが、冷静に見て、ふと考える。やはり人なのである・・・。
また多くのことを学ばせていただいた。

作業にあたった二日とも、午後二時には終了。北上に戻ったころには夕方になる。両日とも、食事は北上駅周辺でとる。地元の人たちとの交流は、とても有意義な時間である。今更地震の話をいろいろと聞くわけでもなく、全く他愛もない内容と自然な振る舞いがわたしたちの感覚と若干違い、とても心地よい。毎度、東北の方言は途中からBGMとしか聞こえなくなるのは少し残念なところ。

あと心に残るものとして、ボランティアセンターの対応だ。どのボランティアセンターにも言えることだが、受付、送り出し、出迎え、見送りにほんとに気持ちの良い笑顔で対応いただく。スタッフのほとんどはボランティア(多くは被災者)なのだが、連日それほどまでに気持ちの良い対応が、人として振る舞うことができるものなのだろうか・・・。それは作為的なものと全く違う。
沢山のものが破壊され、多くの大切なものを失った、その後残ったものの一つで、とても大切な人の絆という導きを感じさせられる。
二日とも作業後におもてなしまで受けた。初日は、”ババヘラ”という秋田名物のジェラートのようなもので、二日目はかき氷とポンガシ。とても気持ちの良い施しに、感動である。彼らにとって迷ったり遊んだりしているわけではない。これが、今後の街の復興の表れとして、動き出している姿なのだととれた。そう思えると、なんと心強いことであろう。

二日間の作業を終え、ツアー日程最終日は平泉に立ち寄った。ボランティアツアーと題して、観光を含めるのはいかがなものかと論じられたようなのだが、参加者の一人として、観光を含めた内容は評価が高い。これが、逆に+ボランティアとしてついでに復興お手伝いとなればいささか難ありなので、注意がはらわれる必要がある。
添乗された担当の方に聞くと、多くのボランティアツアーが公に募集している企画自体、利益を出してはいけないことになっているそうだ。とはいえ、どこの旅行会社でも発災以降の東北企画旅行は軒並み数字が取れてないのが現状。今後、復興とともに、時間を要することは必須となるが、観光に再起動が待たれてやまない。

最後に、今回お世話になった、全ての方々に感謝申し上げたい。思いやりある配慮が行き届いた人たちに触れ合うことができてとても有難い数日間だったといえる。

(追記)
Yさんを通して、海産物の入手をお約束してきました。入荷次第、メニューに反映させていただきますのでお楽しみに…。



(HICO)