東日本大震災ボランティア 18th（福島市大波上）参加

3月30日雨天、福島県の除染活動に参加。
福島県が除染の一般ボランティアを募集することに賛否が分かれるところであろう。確かに放射線量はゼロでない。安心とよべるラインも、未だ定かでない中、出向く者の自己責任である。
県にしても、一般の方を受け入れる意味は確かにPR。風評を含む原発要因で、住民さらに観光にみる人口流出、そして農業を始めとする産業力の低下は、大きな問題。

福島駅からバス二台による送迎と現地まで自家用車で参加する方も多く、一日中雨が降る天気予報にもかかわらず、100名以上の応募の中、8割ほどは集まっていたと見受けられた。
これまでの各地活動で顔見知りの方も数名おられ、しばし近況等をお聞かせいただいた。皆さん、私よりも年上で、50～70歳ほどだが、とにかく元気。訳あって除染活動に参加されておられる方には、長年原子力で飯を食ってきた方や学者さんなども。この日の参加者の多くは、福島県のファンだから…と、これまた的を得たよなそうでないよな回答で、いまさら明確な理由を持ち合わせる必要もない感じである。確かにところ変われば、個人宅の除染などでは、その思い入れに対して、かなりの情が突き刺さるほど。役所における見解と個人の想いに相違する溝がやはりあるのかもしれない。

さて、本日の現場であるが、福島の市街地から東へ車で30分かからぬところで、以前参加した伊達の手前に位置する大波という場所。バスでそこの小学校に運んでいただき、集会場のようなところでミーティングとなった。このあたりの自治会長であろう方からごあいさつ。このあたりも原発被害の影響はかなりあったそうで、現実問題、この小学校の今年の卒業生は一人、そして入学はゼロだという。どの地域でも子供が元気よくはしゃぐその姿があるからこそ、大人は地域存続と環境保全について真剣に取り組むものである。なんとかせねばというこの大波の皆さんのお話とお姿を見るに、切実さが痛いほど感じ取れる。
一歩ずつ、安心を取り戻すためにとりあえず除染を進めるしかなく、そしていくらかの月日が経ってどうなっていくことになるのか、余程の政策がないとかなり険しい結果も懸念される。

ミーティングでは、事前登録で集まった方々なのですでにグループ分けがなされたが、雨の影響もあり、全てが同じ場所の同じ活動となった。国の広報やメディアさんたち数名、線量数値の専門家も同行し、少し離れた”大波城趾”に移動した。このあたりの憩いの場となるその城跡は、いわゆるシンボルなのだろう。
堆積する枯葉を除去する作業に一斉に取り掛かることとなった。作業自体はそれほどでもないが、とにかく急斜面と降り続く雨の中で、直ぐに泥だらけとなってしまった。
昼からさらに雨が強まるとの予報から、本日は午前のみの短時間。それでも精一杯、積もった枝や枯葉を取り除く。原発事故後からして3年前の枯葉を除去しなければ意味はないので、まずまずの量となっていった。
一区切りがついたところで、作業終了。もとの小学校に戻ると、温かいみそ汁と大量の美味しい漬物のふるまいを受ける。作業前の朝のお話があっただけに、とても意味深い気持ちのこもったもてなしを有難くいただくことにした。当の自治会長自らが味噌汁を運び皆をねぎらう姿も印象深い。今回、全国から駆け付けたボランティアを迎えることがとてもうれしいのだと仰っておられた。
我々のできるほんの少しのお手伝い。復興復旧で言えばマイクロなパーセンテージの働きにしかならないが、その気持ちを大切に受け止めておられた。こうした実際の作業とは別に感動の作用は、阪神淡路に受けた感謝にもだぶる。
なぜ出向くか、なぜ参加するか、その影響を含めると、まだわかってないこともたくさんありそうだ。

昼13時前、大波地区をあとに福島駅へと向かう。そのバスの車中、何気ない会話を耳にする。先だって放送された報道ステーションで話題となった、福島の子供たちの甲状腺がんについての見解である。乗り合わせた県職員は、その立場もあって、放送された内容通りの回答。安全安心を何よりもうたいたい彼らの見解。・・・でもねって、小さな反論はこの場で無用と感じ、この日は、これでおしまい!

たくさんの問題がありすぎて、立場も違えば、考え方も違う。良くなってほしいと皆が望むわけだが、一筋縄でいかないことが多すぎる。ただ、自治会長にみる切実な思いがあり、我々ができることもきっとまだあるはず。少なくとも思いを寄せていたいものだ。（HICO)

→募集要項　除染情報プラザ（pdf）

→福島再生 vol.64 | 除染情報プラザ：福島県・環境省
●３０日
１班～４班　積算線量　１μＳｖ/ｈ
【作業場所】
大波城趾　　空間線量(地上１ｍ)　平均０．９２μＳｖ/ｈ